灯が消える
2025年03月22日
「あかり」が消える
神社の前には宮前地下街がある。
瀬戸へ来た方に「地下街がある」と言うと、たいてい驚かれる。一般的に地下街と言えば、名古屋市などの地下街を思い浮かべることだろう。
宮前地下街は写真の通り、上に宮前広場があり、その地下に商店が並ぶ。途中には空き店舗もあるが、端から写真館(閉店)、喫茶店、居酒屋、美容院、うなぎ屋、帽子屋、お茶屋、焼きそば屋、金魚店。昭和レトロ感満載の商店街である。
その中の一軒。喫茶店「あかり」が3月15日で閉店した。
昔ながらのカウンターのある店内で、ママさんとお客さんがいつも和やかに会話し、店内は賑わっていた。ただ、常連さんがほとんどなので、届け物などで店を訪れるとドアを開けた瞬間に一斉にみんなの視線を浴びる。おそらく一見さんはちょっと抵抗してしまうかもしれない。
父も生前「ちょっと、あかりに行ってくる」とよく通ったものだ。なんでも早い人だったので、行ったと思ったらすぐ帰ってきたので、本当にコーヒーを味わっていたのかどうか怪しいが、様々な個性的なお客様をさばき、切り盛りするママさんの人柄に魅力があり通っていたのかと思う。
そんな店が商店街から消えてしまうのは本当に寂しい。
神社があって、人の行き来があり、商店がある。商店街の方々は、神社さんの前で商売させてもらっている、と言って下さり、神社の事に理解があり協力的である。ありがたいことである。カウンター越しに喫茶店の店主と客がやりとりするように、神社と商店街は互いにやり取りをしてこれまでやってきている。最近はいわゆる門前の商店街がシャッター街になっているところが多い。やり取りしようにも相手がいないのでは困る。街が月日と共に変わっていくのは世の常である。それに抗うことはできないかもしれないが、人の行き来が途絶えないように、神社に足を運びお参りしていただけるよう努めていきたい。
あかりのママさん、36年間たいへんお疲れ様でした。