東京2020オリンピック聖火リレーを終えて
2024年10月03日
あれから一週間、実際にあったのだろうかと幻のように思えるくらい遠く、眩しく感じる出来事だった。
4月5日東京2020オリンピック聖火リレーの愛知県出発地。昨年はコロナ禍で延期となり、今年の開催もぎりぎりまで揺れていた。当神社で本当に出発式が行われると実感できたのは、4月4日に会場設営のため境内が大量のコーンとバーで仕切りが設けられたのを見たときだった。慌ただしく出入りする関係者や車。岐阜での聖火リレーを終えてから夜遅く到着する人達。いよいよ明日。
当日は朝6時から会場作りが始まった。手際よく組み立てられる舞台。その端でどこかのテレビ局のキャスターの撮影が行われる。上空では報道ヘリコプターがパラパラと旋回する。これまでも神社で様々な神事や催しを執り行ったことはあるが、この催しは動いている人の数が全く違う。日本IOCの聖火リレーを取り仕切る人たち、運営業者、設営業者、瀬戸市役所職員、警察、警備員など分かるだけでも多岐にわたる。オリンピックという世界的な祭典を無事にやり遂げようという緊張感や意気込みが見ているだけで伝わってくる。
あちこちバタバタ動き回る人たち中で、私の目に留まったグループがある。聖火ランナーが着用しているウエアに似たデザインで薄ベージュ色のウエアを身に着けた人たち。おそらく聖火リレーそのものと聖火ランナーを補佐している方々だと思われる。その中心の人であろうか「お世話になります」と丁寧に挨拶をされ、拝殿前ではきっちりとお参りをされていた。いよいよ式典が始まろうとするとき同じウエアの5、6名が境内に入る階段を上がってきた。鳥居をくぐる前に誰もが一礼された。この光景を見たとき、このような人達が支える偉大な行事はきっと成功するだろうと思った。聖火リレーの経由地となっている場所は、愛知県だけでも熱田神宮、国府宮、真清田神社など神社が多いので、もちろん事前にそのような作法を徹底されているのかもしれない。もしそうだとしても、首を垂れる姿は本物である。
愛知県聖火リレーの出発地に選んでいただいたことは、またとないたいへん名誉なことであり、瀬戸の人々が歓喜する様子を大神様もたいそう慶んでご覧になられていたことと思う。「Hope Lights Our Way ~希望の道をつなごう~」との言葉を掲げた聖火リレーが、最終地点まで滞ることなく安全に執り行われることを祈るばかりである。