瀬戸被爆ピアノコンサート2026 ~未来へつむぐ 希望のかけ橋~
2026年09月13日
瀬戸被爆ピアノコンサート2026 ~未来へつむぐ 希望のかけ橋~
瀬戸被爆ピアノコンサート実行委員会 代表 山本あさひ
去る2026年8月14日、パルティせと5階アリーナにて、「瀬戸被爆ピアノコンサート2026 ~未来へつむぐ 希望のかけ橋~」を開催いたしました。
1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾。その爆風や熱線を受けながらも奇跡的に残り、現在まで大切に受け継がれてきた「被爆ピアノ」があります。広島在住の調律師・矢川光則氏によって修復された被爆ピアノは、現在も全国各地を巡り、その音色を通して戦争の記憶と平和の尊さを伝え続けています。瀬戸と被爆ピアノとのご縁は深く、2005年の愛・地球博の際には、広島県外で初めて被爆ピアノが演奏されました。そのご縁を受け継ぎ、私たちは瀬戸の地から次の世代へ平和への想いをつなぐ「平和の種まき活動」を続けています。
第2回となる本年は、8月14日というお盆期間中の開催であったため、学校機関への協力依頼や周知、集客に大変苦労しました。前年は事前予約の段階で満席となりましたが、今年は開催直前になっても予約が満席には至らず、不安を抱えながら当日を迎えました。
そこで本年は、事前予約をされていない方にもご来場いただけるよう、当日席を設けて対応しました。その結果、事前に想定していた350名を上回る、約380名の皆さまにご来場いただきました。前年は定員300名に対して事前予約は満席となったものの、実際の来場者は約250名でしたので、本年は前年を約130名上回る来場者数となりました。
特に当日席には、ご高齢の方々が多く足を運んでくださいました。事前予約制だけでは情報が届きにくかった方や、当日の都合に合わせて参加したい方など、新たな層の皆さまにも被爆ピアノの音色を届けることができました。集客に苦労した一方で、当日席を設けたことが、より多くの地域の皆さまに開かれたコンサートへとつながったことは、本年の大きな成果であり、新たな気づきとなりました。
本年は、出演者61名、運営スタッフ・ボランティア29名、総勢90名がコンサートに携わり、そのうち58名が子どもたちでした。
コンサートでは、子どもや学生による被爆ピアノの演奏、聖歌隊による合唱、金城学院大学モダンアンサンブルの皆さまによるジブリジャズメドレーをはじめ、被爆ピアノ調律師・矢川光則氏と林ともみ氏による平和祈念対談、京都からお越しの小川よしのり氏による紙芝居など、音楽や言葉、さまざまな表現を通して平和について考える時間を共有しました。



また、共生社会の実現を目指し、「瀬戸ピースパラアート展」を同時開催しました。「あいちアール・ブリュット パートナーシップ事業」として、障がいのある方々が制作した15作品を展示し、一人ひとりの豊かな感性や表現に触れていただく機会となりました。
会場へ足を運ぶことが難しい方にも平和の音色を届けるため、公式Instagramによるライブ配信も行いました。当日はマスメディアの取材も入り、被爆ピアノの存在と、戦争を知らない世代へ平和の大切さを伝えていく私たちの活動を、広く発信していただく機会にも恵まれました。
本年の開催にあたり、お盆期間の開催にもかかわらず、司会進行を務めてくださった愛知県立瀬戸北総合高等学校放送部の皆さま、聖霊中学校・高等学校聖歌隊の皆さま、そしてボランティアとして会場設営や運営を支えてくださった公立瀬戸旭看護専門学校の皆さまに、心より感謝申し上げます。また、生徒の皆さまを引率し、本活動に温かいご理解とご協力を賜りました各校の先生方にも、深く御礼申し上げます。学校がお休みの期間にもかかわらず、多くの生徒の皆さまと先生方が力を貸してくださったことは、本年のコンサートを実現するうえで大きな支えとなりました。

特に心に残ったのは、81年前に広島で被爆した一台のピアノを、今を生きる子どもたちや若者たちが自らの手で奏でている姿です。
戦争体験者から直接お話を伺うことが難しくなっていく中、被爆ピアノは「音」によって歴史を語り継ぐ存在です。その傷跡に触れ、音色を聴き、自ら演奏する経験を通して、子どもたちが平和について考え、感じたことをさらに次の誰かへ伝えていく。その小さな積み重ねこそが、未来の平和につながっていくのではないかと感じています。
私たち瀬戸被爆ピアノコンサート実行委員会は、子どもたちへの平和教育を目的として、瀬戸市に集った市民によって活動しています。
私たちが目指しているのは、戦争や平和について学び、伝えることだけではありません。国や言葉、信条、価値観、所属する組織や立場など、さまざまな違いや固定観念を超え、普段は考え方の違いから交わることの少ない人々も、「子どもたちの平和教育」という一つの願いのもとに力を合わせ、一つにつながることを大切にしています。
互いの違いをなくすのではなく、違いを認めながら、それでも同じ目的のために協力し合うこと。その姿そのものが、私たちの考える「平和の種まき」であり、子どもたちに伝えていきたい平和のかたちでもあります。
今年の会場でも、年齢、職業、所属、立場の異なる多くの方々が、出演者、実行委員、ボランティア、学校関係者、協賛者、来場者として、それぞれの役割を担いながら一つの場をつくり上げてくださいました。
約380名の来場者と、子ども58名を含む90名の出演者・スタッフが同じ場所に集い、音楽を聴き、言葉に耳を傾け、ともに平和について考える時間を持てたこと自体が、この活動の大きな意義であったと感じています。

瀬戸市は「平和都市宣言」のもと、平和への願いを地域全体で発信しています。そして、焼きもののまち瀬戸には、古くから自然への敬意、祈り、感謝とともに文化やものづくりを育んできた歴史があります。
私たちは、次世代の日本を担う子どもたちや若者たちが、一年に一度でも戦争で亡くなられた方々を追悼し、平和について考える機会を持ってほしいと願っています。そして、唯一の戦争被爆国である日本に生きる若い世代が、自ら考え、自らの言葉や行動で平和への想いを世界へ伝えていける人へと成長してくれることを願い、これからも継続的に「平和の種まき活動」を続けてまいります。
子どもたちが平和の尊さと郷土への誇りを胸に成長し、やがて世界へと羽ばたいていくこと。瀬戸から広がる小さな祈りの音が、次の世代へ、そのまた次の世代へと受け継がれ、やがて国や言葉、価値観の違いを超えて、世界へと平和の輪を広げていくこと。
その願いを込めて、これからも被爆ピアノの音色とともに、「未来へつむぐ 希望のかけ橋」となる活動を続けてまいります。
最後になりましたが、本年も深川神社様には温かいご協賛とお力添えを賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
また、地域の皆さま、出演者の皆さま、学校関係者の皆さま、実行委員、ボランティア、協賛者、そして会場へ足を運んでくださったすべての皆さまのお支えにより、無事に開催することができました。
瀬戸から広がる平和への祈りが、未来へ、そして世界へとつながっていきますように。