磁祖 加藤民吉翁を祀る窯神神社の 盗難賽銭箱、まさかの発見・回収顛末記
窯神神社崇敬会 会長 加藤邦彦
まもなく9月、今年も磁祖民吉翁を偲び、その遺徳を称える「せともの祭」の季節になりました。さて過日、崇敬会にとって驚くべき、信じ難いことがありましたので、記させていただきます。
去る5月7日豊田市の猿投山々中から、2015年10月に盗まれた賽銭箱が見付かり1年半ぶりに回収できました。
この賽銭箱は、近所の人から「無くなっているが……」と連絡があり、過去にも崖下に落とされる等の被害も何度かあったので、「またか……」と思い境内等をくまなく探すも見付からず、盗難届けを提出。その後も何の手掛かりも無く、鉄製の為鉄屑にでもされたものと諦めておりました。
ところが連休で偶然猿投山へ行った婿が、帰宅後猿投山の情報をネットで閲覧し、「猿投山の達人」と題するブログを見、大量の投稿の中から1枚の写真を発見、私に見せてくれました。間違いなく窯神神社の盗まれた賽銭箱。早速「達人」氏に連絡をとり、全面的な御協力を得ることができました。
ブログの写真で見る限り枯葉等も積もっており、おそらく林道から崖下にでも落とされているのではと思われ少人数での回収は困難かとも思い、まずは下見と思いながらも瀬戸署に見付かった旨を連絡の上、ロープやスコップ、バール等々必要と思われる物を軽トラに積み込んで行きました。猿投G.R.八草I.C.近くのコンビニで日進市の「達人」氏と落ち合い、伊藤副会長と私、婿の3人は現場へ案内していたゞきました。
婿のGPSで見ると現場は八草から約6㎞。のどかな広幡集落から淡紫色の山藤咲く里山を過ぎて猿投温泉へ抜ける林道の途中で2台の車は置き、トラックは出来る限り近く迄とさらに進むも2輪駆動の軽トラでは程なく無理になり、その先はモトクロスで荒れ果てた林道をしばらく歩き、さらにそこから30m程森の中に入った、東海環状自動車道猿投山トンネルから400m程の地点に捨てられていました。
この賽銭箱は、崇敬会総財務村井氏の会社で鉄製の箱を利用して手作りしたもので、重量は60㎏程あり、倒木や木の根で非常に足元は悪いものゝ幸いにもゆるやかな起伏の藪の中だった為4人で何とかトラック迄運ぶことができました。2ケの鍵は壊されており、何で破ったのか厚さ約2㎜の側面の鉄板にも大きな穴があいていました。付近で壊された鍵の破片も見付かりました。どうしてこんな山奥に捨てたのか全く不可解で、「達人」氏のブログにも書かれている様に本当に『人間のやる仕業ではない』。
賽銭箱の中には、1年半余り山中に放置された為枯葉や枯枝が溜まっており、その中から犯人が盗み忘れたのか五円玉が1ケ見付かり『これも何かの御縁』と思われてなりません。年数十回も猿投山に行かれる、正に『猿投山の達人』氏が人の立ち入らない場所に迷い込み、偶然発見してブログに掲載、それを見つけた等々の偶然、現代のネット社会の情報伝達力に改めて驚くばかりです。
それにしても幾つもの偶然が重なって回収できた信じ難い過程は、民吉翁のパワー、神力の導きによって発見回収できたのではとも思われてなりません。又昨年11月から続いた賽銭盗が、瀬戸署の昼夜を問わずの張り込みの結果、2月13日現行犯逮捕されたことも何か同様に思われてなりません。
回収した賽銭箱は現在製作した役員の会社に保管してあり、修理もなかなか困難な様ではありますが、『民吉パワー?』によって戻って来たものなので鉄屑にすることなく、将来に亘って残せないものかと今後皆でワイワイ相談したいと思っております。
(なおこの話題は、5月9日朝日新聞朝刊に掲載され、又16日に中京テレビの夕方の番組でも放送されました。)