平成32年4月開校予定の「にじの丘学園」に統合される7つの小学校と中学校の後世にも引き継ぎたいよき伝統と特色をお伝えしたいと思います。今回は、祖母懐小学校を紹介します。
祖母懐小学校は、大正5年(1916年)4月1日に、瀬戸第三尋常小学校として、現在の祖母懐公民館の場所にあった雨池を埋め立てて開校しました。現在は、1年生から6年生まですべて1学級、特別支援学級を含めて9学級、全校児童123名の学校です。
校区は3つの違った景観を持ちます。北は、瀬戸市街地の中心で商店街を形成します。南は、猿投山に連なる丘陵地で自然豊かな地域です。その間の地区は遙か昔から「せともの」づくりが盛んに行われているところです。陶祖「加藤陶四郎」が校地東の斜面から、陶器作りに適した粘土「祖母懐土」を見つけて窯を開いたと言われています。瀬戸焼の歴史に関係の深い地域です。平成28年には100周年を迎え、保護者や地域の方の多大なるご協力の下、記念式典が開催されました。
祖母懐小学校の特色は次の3つです。
1つ目は、地域性を生かした焼き物学習を通したキャリア教育です。2年生の町探検、3年生の瀬戸蔵ミュージアムや陶器工場の見学など、2年生から6年生までの5年間かけて焼き物学習を行っています。その集大成として、毎年3学期に、「やきものフェスティバル」という行事を行っています。この行事は5・6年生が会社設立から始まり、手作りの陶器作品や絵付け商品を製作・販売するまでをほぼ1年かけて準備します。当日は、1年生から4年生の子どもたちと200名を越える保護者や地域の方をお客さんに、自分たちの作った皿や置物などの商品を販売しています。実際にお金をやりとりすることで、働くことの意義や楽しさ、大変さを体験する有意義な活動になっています。
2つ目は、全校児童を12の縦割り班に分けた「なかよし班活動」を行っていることです。地域と一緒に行う運動会「スポーツフェスティバル」の応援や、高学年が低学年に読み聞かせを行うなかよし読書、朝鮮初級学校の子と一緒に行う児童会行事「なかよしラリー」など、1年を通じて活動しています。異学年交流を行うことで、高学年にはリーダー性と下級生を思いやる心が、また、低学年には、自分勝手な言動を律する態度が育っています。
3つ目は、地域交流にも力を入れていることです。3年生は、地域の方を講師に、米作りの体験授業を行っています。苗作りから始まり、田植え・稲刈り・脱穀・収穫祭としての餅つきをします。4~6年のクラブ活動の講師も、公民館で活動してみえる方を中心にお願いし、手品、ハンカチ染めやおこしもの作り、卓球などの指導をしていただいています。
2020年には、近隣の小学校5校と中学校2校が統合し、小中一貫校「にじの丘学園」ができます。新しい学校の開校に向けて、合同行事や交流学習を進めており、学校の枠を超えた人間関係を深めています。