平成32年4月開校予定の「にじの丘学園」に統合される7つの小学校と中学校の後世にも引き継ぎたいよき伝統と特色をお伝えする「瀬戸歳時記」、今回は、本山中学校です。
本山中学校は、昭和26年に瀬戸市立第四中学校として開校した市内中心部にある中学校です。近年、生徒数が減少し、平成30年度は、2年生が1学級、3年生が2学級、特別支援学級が1学級の計4学級になり、市内で最も小規模の中学校です。
毎年4月に、世代を超えた同窓会対抗ソフトボール大会が開催され、第1回卒業生から卒業したばかりの卒業生が出場し、この日は地域が大いに盛り上がるそうです。卒業生の母校への思いはどの学校よりも深く、熱いようです。では、お話をうかがった内容をご紹介します。
本山中学校では、「将来、社会で生き生きと活動できる」「社会に貢献し、必要とされる人になる」生徒を育成するために、これまでキャリア教育の一環として「もとやま工房」プロジェクトを進めてきました。古くからやきもの作りの中心として栄えた校区に位置する本校であるからこそ、「せともの」を教育活動の基軸に据え、生徒たちの目を地域の人々や文化、産業に向けさせてきました。またPTAと地域の方も「窯業クラブ」のメンバーとして、土曜日の夜に本校の窯業室で作陶活動を行っています。
生徒は「もとやま工房」、PTAと地域の方は「窯業クラブ」において、作品(商品)作りを行い、生徒、保護者、地域、教職員が協働して、「せともの祭」の廉売市で出店をしています。「もとやま工房」での売り上げは、生徒の観劇や卒業記念品の購入などに活用しています。また、「窯業クラブ」での売り上げは、国際交流活動費、学校教育活動の補助、エアコンなどの備品購入のために活用されています。学校や地域・PTAが学校教育活動費を生み出すという本校のシステムは学校と地域との協働の在り方として、瀬戸市の教育共有財産のひとつになると考えております。PTAはこれらの活動により、日本PTA全国協議会から平成26年度に表彰を受けました。さらに平成30年度は「窯業クラブ」が瀬戸市教育委員会から教育感謝状が贈呈されました。
また、本校はオーストラリアのビクトリア州メルボルン市にある中高一貫校のRowville secondary collegeと姉妹校としての友好提携をし、平成16年から交流を続けています。隔年で相互訪問活動を行い、生徒が国際的な感覚を身に付けるために大きな効果を得ることができています。
来年度をもって本山中学校が閉校するため、平成30年度の生徒9名(男子1名、女子8名)、引率教員4名によるRowville Secondary College訪問が最後の訪問になりました。訪問団員のそれぞれが、ホームステイ先のホストファミリーとともに7日間過ごし、そのうち月曜日から金曜日までは、Rowville Secondary Collegeで学校生活を送りました。
生徒は、授業では3グループに分かれ、各3回、瀬戸市や日本の文化を伝えるためのプレゼンテーションを行いました。また、9コマの授業の他、朝の学級活動にも参加しました。毎日の会話がほとんど英語だけの生活になり戸惑うことも度々あったと思いますが、9名が協力し合って本山中学校の代表としての役割をしっかりと果たしてくれました。また、本校教員の英語による美術の授業は、日本の「印鑑」の文化を伝え、Rowville Secondary Collegeの生徒に創作の楽しさを実感させることができる素晴らしい授業でした。来年度は、Rowville Secondary Collegeにとっても本山中学校への最後の訪問となりますので、これまで以上に充実した交流活動の計画を現在、検討をしているところです。これらの本山中学校の良き伝統が新しく開校する『にじの丘学園』に、ぜひとも引き継がれていくことを切に願っています。
ロウビル校での体育の授業
ビクトリア州会議場にて
ロウビル校の瀬戸市役所訪問