旧川本桝吉邸が「ゲストハウスますきち」に
ゲストハウスますきち 運営者 南 慎太郎
江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した、染付磁器を中心とした陶工・川本桝吉さん。その桝吉さんの本宅が、2018年7月に、ゲストハウスますきちになりました。
ゲストハウスとは何か? どんな場所にしていきたいのかをお伝えします!
「ゲストハウスますきち」木造 2 階建ての寄棟造り桟瓦葺きの建物
ゲストハウス「ますきち」は、瀬戸川の北側にあたる、尾張瀬戸駅から深川神社にかけては、かつて北新谷と呼ばれ、窯元や陶磁器問屋の屋敷が軒を連ねていたエリアにあります。
初代・川本桝吉さんは、日本が初めて国を挙げて参加した万国博覧会、明治6年のウィーン万博にも出品した人物です。日本で初めてコーヒーカップの製造に成功するなど、おもに西洋風の食器製造を行い、海外にも作品を輸出してきました。ここは、そんな川本桝吉さんが家族で暮らしていた邸宅でした。
そのため、ゲストハウスの名前も、ご近所のみなさんに親しまれている「ますきち」としました。
ラジオ収録の様子(ますきち内スタジオにて)
その後、邸宅は別の所有者へと代わり、住居として使われた後、2005年には、現在の所有者・牧 治さんが、瀬戸市・尾張旭市・長久手市を放送エリアとする、コミュニティFM株式会社 尾張東部放送(通称ラジオサンキュー)を旧川本桝吉邸を本社として立ちあげました。事務所をはじめ、おもな機能はパルティせとに移ったものの、現在も、ここで一部の収録が行われています。
男女共同の6名部屋。1泊3,200円
2018年7月28日に、「ゲストハウスますきち」として生まれ変わりました。ゲストハウスは、もともとは長期で海外を放浪する旅人たちが集まる、素泊まりで安く泊まれる宿泊施設で、旅人同士の交流の場として利用されてきました。最近では、地域の魅力を紹介する場、人と人をつなぐ場としての役割も担い、ゲストハウスを目的に、やってくる若い人も増えています。
精肉店 オハヨーさん
僕は、ここを訪れたみなさんに「瀬戸の日常」の魅力を伝えたいと思っています。瀬戸は1000年以上続くやきものの産地で、土や火を扱う体力勝負の窯元の職人さんが求めたお肉屋さんやうなぎ屋がやたら多かったり、常に新しいものをつくり続けてきた土地柄なのか、新商品の開発に余念がなかったり、ものすごく元気な店主が多い気がします。そういった、やきものの産地のなかで育まれた文化が、とても好きです。
また、瀬戸市が2016年に「瀬戸市空家等対策計画~せとで住もまいプロジェクト~」を立ち上げたことで、古い空き家を改装して、アトリエとして利用するツクリテの存在も増えてきています。その翌年には、元電気屋の長屋を改装し、アーティストが集まる複合施設「タネリスタジオ」が誕生するなど、新たな動きも出てきています。
瀬戸市は、やきものに限らず、アート、食べ物など、何にしても、<ツクリテ>が多い町です。ますきちを訪れてくれたお客さんに、ここがいいですよ、と伝えることで、人と人をつなげ、瀬戸がいいな、と思ってくれる人を増やし、ゆくゆくは、住んでみたいな、と思う人が増えていくと嬉しいですね。
ますきちでは、宿泊だけではなく、昔ながらの風情を感じられる16畳の和室を時間貸しもしていて、飲物や食べ物を持ち込んでいただいて、みんなで集まって話し合いや飲み会をしたり、ご相談いただけたら、お気軽に利用してくださいね。
廊 下
9月8日9日のせともの祭では、瀬戸市の若手ツクリテによるマルシェを開催するので、皆さんぜひ足を運んでみてください。当日はますきち内部も開放しているので、見学も大歓迎です。
ホームページ ゲストハウスますきち