新出土品展 瀬戸市指定史跡 本地大塚古墳 ―矢田川流域の古墳と埴輪―
会期:令和2年6月6日(土)~9月13日(日)
瀬戸蔵ミュージアムでは、令和2年3月5日より「新型コロナウイルス感染拡大防止」のため、約3か月臨時休館とさせていただいておりましたが、この度6月1日に開館再開することとなりました。この企画展も本来は5月の開始予定で、他機関から借用する資料もあり、開催が危ぶまれておりましたが、6月6日に開会し、会期を延長して9月13日(日)までご覧いただけます。
この展示は、「新出土品展」と題して、近年に瀬戸市内で行われた発掘調査の速報展として毎年行われており、昨年度は瀬戸市若宮町地内の集落遺跡になる「若宮遺跡」を紹介しました。
今回紹介する本地(ほんじ)大塚(おおつか)古墳は、瀬戸市南西部、西本地町に現存する、6世紀前半に築かれた瀬戸市内では唯一、前方後円墳と分かる全長33メートルの古墳で、昭和51年(1976)に瀬戸市指定史跡として登録されました。
同古墳の発掘調査は、昭和40~41年(1965~1966)に行われましたが、発掘の成果を知る主だった資料は火災により焼失してしまいました。しかし一部の出土品はかろうじて難を逃れ、多くの埴輪が残されました。
この発掘調査から約50年後の平成27年(2015)に、古墳に隣接する幡山西保育園の園舎建て替えに伴い、発掘調査を実施しました。今回の調査は主に後円部の北側を行い、その結果墳丘の周囲を二重に濠が巡っていたことが分かり、古墳の規模が推定できるようになりました。
今回の企画展では、本地大塚古墳の調査の成果を紹介するだけではなく、同古墳が位置する矢田川流域に5世紀後半から末頃に築かれた「池下古墳(名古屋市守山区)」、「長坂古墳群(尾張旭市)」、「駒前1号墳(瀬戸市)」についても紹介します。また併せてこれらの古墳と距離的にも近い埴輪を焼成した須恵器窯「城山古窯跡群」(尾張旭市)、「卓ヶ洞(しょくがほら)古窯跡群(尾張旭市)」の出土遺物も展示しています。
展示は、矢田川下流に位置する池下古墳からスタートし、瀬戸に向かって上流へとさかのぼりながら本地大塚古墳へと至る順序でご覧いただく構成となっております。5世紀後半から6世紀前半にかけて築造された古墳とそこにめぐらされた埴輪を始めとした出土品をご覧いただき、1500年ほど前の古代の瀬戸に思いを馳せる機会となればと思っております。
(当館学芸員)