深川神社 古墳整備事業を終えて
大坪造園 大坪信雄
一の鳥居をくぐり、数十歩歩きます。
目の前にやや急な立派な階段があります。上がり切ると二の鳥居、ここで一礼。正面を見ますと小さな階段と三の鳥居、そしてその奥には、立派な本殿。西暦771年創建の深川神社であります。この二の鳥居にて、本殿を正面にして右手奥に視点を移すと、石室をもつ古墳の姿が飛び込んでまいります。これが、深川神社古墳です。成立時期は、6世紀頃との事です。
今回は、この古墳周囲の修復工事を、宮司様より御依頼いただきました。周囲の瑞垣は、明治45年一月と記されています。長い歳月と生い茂った木々、またその根によって、石室、石垣、石柱が圧迫され老朽化しています。こうした有様では、自然災害などにおける事故、災難が心配されます。又、景観さえも悪く見えます。
そのような状態の古墳の整備工事は、まず、木々の伐採、伐根の作業から着手致しました。そして、石柱、石積の解体、取り外し、新たな石積用の掘り方と工事を進めてまいりました。外す石積の裏、中からは、次々とたくさんの石が、出土してきました。想像を絶する石の数でした。この状況で工事を進めるうちに確信いたしました。「今回の整備修復工事は、新しい材料もきれいで良いが、これだけの数の石、また石材、しかも、歴史有る材料を使用できれば、ましてや神社境内の古墳となれば、なお復元の意義が有る」と。
石積を進めていく中で、石、そしてモルタル、砕石、その後方に、強度を出し水捌けが良いように使用されない石、折れた石柱を抱かせ、御影石材も工具にて加工をして、残った石材は、最終的に一輪車に一枚程度。こうして仕上がった石積は、現場に使用されていた材料にて、七割の石積を復元する事が出きました。結果、境内全体を眺めますと、古墳がそれ程派出る事も無く、総体的に落ち着いた状態に仕上がったように思えます。
今回の工事期間は、約一ヶ月強、名誉有るお仕事でお世話になりまして、
誠にありがとうございました。私も誠意を持ちましてお世話にならせていただきました。心より感謝申し上げます。