この写真は、陶彦社境内にある定山作「狛犬」の片方です。
人で言えばフランケンシュタイン風のひどい傷で何針も縫合した跡があるという態だ。半端な壊れ方ではなく、一度はバラバラになったであろうと思われる。何が原因でこのようにめちゃめちゃに壊れ、それを誰が高い技術でこのようにきれいに修復したのか知る由がなかった。ところが、思いもよらずにその謎が解けたのである。
日頃から熱心にお参りをされるある男性に、深川神社奉賛会の入会の案内をさせていただこうと思いお声をかけたところ、「実は、両親はここで結婚式を挙げ、祖父と父は、ここの狛犬を直してるんですよ。」と言われた。私は、「えっ」と思わず声が出てしまった。狛犬の修復とは、もしかして、あの損壊甚大な狛犬のことか。詳細を尋ねると、御祖父様は仕事ではなく趣味で金継ぎをされていて、伊勢湾台風により壊れた神社の狛犬の修復を依頼されたそうだ。幼かったご自身も写った当時の写真(下記)も手元にあるとのことであった。
これまでお見かけすれば挨拶を交わすていどであった方から、意外な事実を聞くことができた。いつもタッタッタッと足取りよく黙々と参拝される方なので、その足をお停めしてまで話しかけることはなかった。今回のきっかけがなければ、このことは知らないままに過ぎていったことだろう。
神社を盛り立てていただく奉賛会は、ご高齢になられたり廃業されたり、様々な理由で退会される方もある。自然淘汰的なことなので止むを得ないが、何とかご賛同いただける会員を一人でも多く増やしていきたいと思い、敬神の念の篤い方にお声かけをしている。とは言え、なかなか勇気がいるものである。
今回もずいぶんと思い切ってお話したのだが、神様は、当然のことながらその方とのご縁をずっと以前からご承知だったのかと思うと不思議なものである。
ちなみに、深川神社奉賛会は、神社の年間行事などのご案内をさせていただき、各祭事の御札や御守をお授けします。年会費は一万円お納めいただきます。新年度が始まったばかりです。いつでもご入会を歓迎いたしております。お電話でもご参拝の折にでも、どうぞお気軽にお尋ねください。